「MagicCreation」を作成するきっかけとなったのは、前作の「DiveAtaack」で初めてSTGというジャンルに挑戦し、作成した基礎部分を使って、自分らしいSTGと作ろうと思ったのがはじまりでした。ACTのノウハウを生かし、マップの中を自由に移動できる全方向STGがおもしろそうだと思いました。そして、ファンタジーの世界でありながら見た目に合わない激しい攻撃。ものすごい敵の攻撃でも地形を使って避けられる、壁に隠れながらショットの位置を調整して敵を倒していくような、地形を生かしたSTGを作ろう──そんな思いから「MagicCreation」の開発がはじまりました。プログラム的に苦労したのはACTのソースにSTGの部分を追加する作業でした。ACTでは左下を原点として管理を行っていましたが、STGでは左上を原点としていたため、単純に移植すると、敵や敵弾の管理や自機との当たり判定がうまくいかないなどの問題が起こりました。座標の管理で勘違いが結構あったことを覚えています。
また、敵の管理にも苦労しました。連続で同じ色の敵を倒すとボーナスいうスコアシステムもあって、敵配置がずれないようにする必要があったのですが、そのためには画面外のすべての敵を動作させる必要がありました。しかし、すべての敵を動かすことは大幅な実行速度の低下となり、高速化に頭を悩ませました。結局、敵をすべて動かしつつ、大幅な高速化はできず、スペックが上がってしまった結果となってしました。この経験は今後の開発に生かしてゆきたいと思います。
一番苦労したのは難易度の設定です。今回はSTGを苦手な人もクリアを手ごろに味わえる、そしてスコアを目指すと難しくなる──そんなバランスを目指し、ダメージ量と回復ポイントの調整を何度も繰り返しました。壁を使った安全地帯を作ったり、ダメージを与えるための敵配置をして、その先で回復ポイントを設定したり。ボスが強すぎると、今度はボスまでの長い道のりをもう一度最初から繰り返さなくてはいけないため、ボスは弱めに調整してあります。難易度は抑え目ですが、同じ色の敵を連続で倒すことで得られるボーナス点を狙うと一気に難しくなるので、自分に合ったスタイルで楽しんでもらえればと思います。
このスコアシステムも、爽快感と難易度の間でいろいろと悩みました。敵の色を複雑に配置するとまったく爽快感がなくなり、逆に単色だけではスコアの稼ぎがいがなくなってしまう。決まった方向や撃ちこむことで同じ色だけ倒せたり、攻略の順番で敵の数を合わせたり、単純に目の前の敵を倒すだけではなく、何ヵ所か探す要素を意識して配置をしました。
以前のソフトのキャラクタを再び活躍させたいと思い、主人公は「MysticMagic」のメグで決定しました。当初の予定では複数のアイテムを組み合わせて、10種類近くの武器を使い分けるつもりでしたが、ゲームバランス的に難しい部分が多く、考えた結果2種類を同時に撃つ現在の形となりました。タイトルの「MagicCreation」はそんな思いから付けたのですが、結局クリエイションできていません。
地形を利用できるような武器をということで考え、連射弾、反射弾、貫通弾、サーチ弾を用意しました。2種類を同時に使用できることで、今度は武器の選択にアドリブが利くようになったと思います。反射弾は実際に作ってみると、大量の反射弾が地形を縦横無尽に跳ね返り、予想以上に爽快感あるものになったと思います。また、壁に隠れながら反射弾を当てることもでき、その感覚に懐かしさを感じることと思います。
新しい試みとして、タイトル画面でいろいろ動かしてみました。編み抜き重ねスクロール、点滅半透明、多重スクロールを使った擬似3D、タイルパターングラデーション、一枚絵のアニメーション、独立した文字オブジェクト、横切っていく鳥の群れ──いずれも懐かしい表現方法だと思います。だいぶ賑やかになったタイトル画面ですが、動きまくる楽しさが伝わればいいなと思います。開発中に本来の仕事の方が忙しくなり、鳥の群れで癒されたのは思い出です。
「MagicCreation」では敵の攻撃は結構激しいと感じるかもしれませんが、ほとんどは地形で避けることができます。クリアするのにお勧めな魔法は、グランドバルカン(茶色)とウォータリフレクト(青)の組み合わせです。斜めに撃つと適当に反射して敵を倒してるので、敵の死角から位置を調整して攻めてください。隠れる場所がない場合は、ゲージがたまるとバリアが張れるので、敵がいない場所でゲージをためてバリアを張ったまま敵に突っ込んで行って無敵中に一掃すると、あまり避けを意識しなくてもクリアできるかと思います。
ボスの攻撃も一見すごい弾数ですが、壁に隠れると避けられるので間に壁を挟むように戦うと、ダメージを受けずに倒すことができます。ボス戦に入る前にゲージをためておくのも有効です。壁を使えるようになると、思っているよりも難しくないので、いまではめずらしい2Dファンタジーの世界を楽しんでもらえるとうれしく思います。また、ステージの中には猫の隠れキャラ「ミャー」が隠されています。ぜひ探してみてください。
完成ということで、開発は終了しました。今後、大きなバージョンアップの予定はありません。
今回も曲を使用させていただいた方、イラストを描いていただいた方、そしてプレイしていただいた方、いろいろな方の協力で「MagicCreation」が完成しました。関わっていただいた方全員に感謝するとともに、こうして完成した「MagicCreation」が、これからプレイされる方に楽しんでいただければ幸いです。
(あるふぁ〜秘密基地)