「MusicScore3 かげやまモデル」では、まずはじめに伴奏の作成ありきで、メロディはその後に伴奏に合わせて作成するという作曲スタイルをかなり明確に打ち出している。伴奏作成とメロディ作成、順序を逆にして呼び出すことも不可能ではないのだが、スタート画面の「テンプレートを使う」を選択すると、とりあえず伴奏だけが先に作られるのを見ても、最初に伴奏ありき、というスタイルは明確だ。素人考えからすれば、作曲といえば作詞+メロディ、あるいはメロディ+作詞という流れでメインの曲を作成し、伴奏はあとで作成するという考えになりがちだが、実際に「MusicScore3 かげやまモデル」が指定する流れに沿ってみると、伴奏を先に用意して、あとでメロディというのもかなり合理的というか、便利なのだな、と納得させられる。
実際、自動作成された伴奏に合わせて適当に歌を録音し、そこから音符を起こすという手順は非常に手軽だ。何もないところからメロディを作成するのに比べると、ものすごくスピーディに、それなりの音楽が完成する。キャッチフレーズの“楽しみながら作曲”が納得できる瞬間だ。
画面構成や機能などを見ると、初心者への配慮はかなり多く、初心者専用とも思わせる部分もある。しかし、本格的な楽譜作成ソフト「MusicScore3」の機能を使っているだけあり、楽譜作成機能は充実しているし、使い勝手もよく考えられている。なにより「楽しい」ところが最大の魅力だ。
(天野 司)