人間が、感情を持つ人形を造り出すという、神を冒涜したような技術「サイバードール計画」を巡る物語。総プレイ時間は3〜4時間ほどの短編RPGだ。ストーリーに重点が置かれ、戦闘の難易度は低めに設定されている。シナリオが中心だけあり、登場キャラクタは非常に個性的。シリアスなテーマにもかかわらず、あまり重たい雰囲気にならないのは、ひとえにキャラクタ同士のユニークな会話によるものだろう。特にDを溺愛するアダムの言動は、行き過ぎなほど。IやCの純粋さに対して、博士たちの発言が軒並み怪しいのには笑ってしまった。さらに、ミステリアスな「ロゼ」の存在をはじめ、物語の随所に謎が散りばめられ、最後まで飽きることなく、一気にプレイできた。
戦闘は、回復さえ怠らなければ、特に難しいことはない。ボス戦で手こずる場面はあったが、「バースト」を出し惜しみせずに使用すれば、難なくクリアできる。戦闘システムはシンプルなものの、「物理攻撃」「特殊技能」「エーテル回路」と、3種類の攻撃方法を駆使して戦略を組み立てるのがおもしろかった。MPとTPによって使える攻撃法が異なり、さらに属性攻撃なども用意されているので、戦闘が単調になることはない。しかも余計なレベル上げもほぼ無用。マップの移動も、選択すれば一瞬でできる。システムに関してイライラすることは皆無だった。おかげでストーリーを楽しむことに没頭できた。
短いながらもおもしろく、丁寧に作り込まれたシナリオ。そのシナリオをより楽しませるために、システムはシンプルかつ非常にわかりやすく作られている。RPGが好きな人はもちろん、良質な物語をじっくり楽しみたい人にお勧めしたい物語だ。
(早川 陽子)